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2009年5月

バーミューダ。加瀬邦彦さんが選んだ1着。

2007年、夏。その前年秋、武道館ライブを大成功で終えた加瀬邦彦さんを訪ねた。

60sFACTORYのサンプルを数点持参した。

「お好きなものを1点差し上げます」と、テーブルの上に並べると、「うわあ、懐かしいなあ」と、バーミューダを手にされた。「尾錠も付いてるんですねえ」マドラスとシアサッカーの2点を交互に手にされた後、「じゃ、これを‥。いいんですか?」と選ばれたのは、シアサッカーだった。

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「マドラスもいいんだよねえ」と心残りな風情だったので、身を乗り出し「それもいいですよ」と言いそうになったら、「いや、これでいいです」とすかさず言われた。

気遣いに思えた。

六本木の一隅、窓から瑞々しい緑の見える、雨上がりの一日だった。あれやこれや、一時間ほどお話をして帰った。

60sFACTORYプロデューサーKakky(柿本)

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半袖プルオーバーBDシャツの着こなし、着まわし

シャツの裾をパンツの外に出すことを“タックアウト”。パンツの中に入れることを“タックイン”と言う。

かつては、ポロシャツまでタックインするのが普通だった(今見ると、むしろ新鮮に見えるが‥‥)が、タックアウトしていないと「おじさん?」と冷たい視線を浴びるようになっていった。

挙句、シャツの“コースター”(後身の裾の長くなっている部分を、こう呼ぶ?!‥自信はない)をパンツの外に出している姿を多く見かけるようにまでなった。いささか見苦しく、短足日本人にはどうなのよ?!と思ったが、シャツ・オン・シャツで着る場合は、シャツをライト・ジャケットだとみなせばいいことにしよう、と目をつむっていた。

ただ、60sFACTORYで半袖プルオーバーBDシャツを生産するに当たっては、タックアウト用とタックイン用で異なるべき箇所のデザインには、注意を払った。

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アメリカン・オックスの、スタンダードな半袖プルオーバーBDシャツは、コースター付きの裾。シアサッカーの半袖プルオーバーBDシャツは、スクウェアな裾、にした。

カジュアルな着こなしを想定したシアサッカーの場合は、やはりタックアウトで着るのが基本。となれば、裾はスクウェアであるべき、とのこだわりだ。脇もシアサッカーのものは、タックアウト仕様。ガゼットの付け方も変えてある。

もちろん、スタンダードなBDシャツはON&OFFに着まわせるのが、大いなる利点。コースター付きの半袖プルオーバーBDシャツをタックアウトしても問題はないと思われる。僕もそうする時もあるが、それはどんなパンツを穿くかによって決めている。

デニムの場合は、タックアウト。綿パンの場合は、必ずタックインでベルトも締めることにしている。‥‥好みでいいとは、思うのだが‥‥。

60sFACTORYプロデューサーKakky(柿本)

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大人の男の夏を装う!?バーミューダ・ショーツ

12~3(?)年前、女性編集者二名と“中・高年の夏の装い”について話した。

anan(だったと思う‥)が「ワンマイルウェア」を提唱し、ちょっと外出もできるホームウェアという概念が提唱され始めてしばらく経っていた頃だった。

ホームウェアから日常着まで、女性たちのファッションは全体に底上げされ、イメージアップされてきているのに、お父さんたちはどうして?という話になった。僕はなぜか責められているようで、防戦一方になった。

彼女たちが特に気に入らないと言うのが、ちょっと近所に、という時のお父さんたちのファッションだった。スウェットがホームウェアやパジャマとして定着し、スポーツウェアであればいいだろうという安心感が生まれたことが、事態をさらに悪くしている、と声を揃える。

それは、僕も同感だった。

特に夏は見るに耐えないことさえあると、おっしゃる。これも、同意せざるを得ない。

住宅街では、確かに見るに耐えない姿を見かけなくはない。

しかし、夏の「大人の男のワンマイルウェアは?」となると、彼女たちにアイデアはなかった。

その時から気になっていたのが、バーミューダ・ショーツ。

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手間や素材量はほとんどパンツを作るのと変わらないのに、ショーツだから価格はパンツよりも低いイメージで見られてしまう、という難しいアイテム。マドラス・チェック同様、生産されなくなった理由と戦ってみたが、結局は、気合だ~!ということになってしまった。生産に壁のあるアイテムは、まだまだある。ん~~~~~。

60sFACTORYプロデューサーKakky(柿本)

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インディアン・マドラスの魅力と多様性

マドラス・チェックが好きだ。

VANに入社してから、そのことに気付いた。気付かせてもらった要因は、二つ。

一つは、その無限とも思えるほどの多様性。そしてもう一つは、インディアン・マドラスの粗野なくらいの風合いだったと思う。

VANがインディアン・マドラスのシャツを発売した当初は、“色落ちする”というクレームが相次いだらしい。しかし、色落ちしないように加工することよりも、VANはその粗野感を重視。「色落ちします」というタグを付けるという解決策を採った。

タグの存在は知っていたが、その経緯を聞いて僕は、大笑いしながら拍手をしてしまった。インディアン・マドラスを色落ちしないようにすることより、それによって失われかねない“粗野なよさ”を選ぶところに、VANの自信とセンスを感じた。

やがてマドラス・チェックは、商品としてあまり見かけなくなっていった。事情は察しがついた。

何しろ種類が多い。多くないと、魅力的には映らない。それぞれの種類を原反で仕入れ、S~LLまで4サイズ展開すると膨大な商品量になる。しかも、サイズ・バランスが取れていない不良在庫が大量に残る危険性もある。事実、VANでは様々な種類、サイズの在庫が大量に存在していた。

でも、マドラス・チェックが好きだ。見かけなくなっているからこそ、なお作りたい。インディアン・マドラスにもこだわりたい。

という訳で、迷いに迷った挙句、ジャケット用素材約30種から選んだのが、マドラスジャケット三種。

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半袖プルオーバーBDシャツ用素材には、もっと困った。インドから輸入できる素材、と持ち込まれたものだけで100種類以上。小ロット可とはいえ、輸入するに当たっては、ある程度の生産量は必要となる。見込みロスを価格に組み入れるようなこともしたくない。‥‥‥‥覚悟を決めた。やるしかない!バーミューダも作るぞ!‥‥‥‥

で、今はこう考えている。もっといいのは、選択自由度の高いマドラス・チェック製品の実現のために、パターン・オーダーを発展させていくことだ。せめて15~20種類くらいの素材を揃えておき、そこから選んでもらって生産する。

‥‥‥‥いつか実現したいものだ。

60sFACTORYプロデューサーKakky(柿本)

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いい顔付きと、欠点に見える長所

第一印象は、大切だ。対人関係においては、もちろん。買い物の時にも、第一印象を重視すべきだと、僕は思う。

僕は、メンズショップ(年1~2度、ポール・スチュアート)に行くと、必ず遠くから商品を眺める。何かを見つけようとするわけでもなく。すると、たまに一つの商品が気になってならず、そこへと目が戻ってしまうことがある。出会いだ。

価格を見て諦めることが多いが、ジャケットとスプリングセーターはどうしても目が離せなくなり、購入した(してもらった)。きっと、長い付き合いになると思う。

モノ作りをしていて楽しいのは、サンプルが上がってきた時に感じる“出会いの感動”である。思わず微笑みが洩れてしまい、しばらく眺めてしまうような顔付きのものが誕生すると、長い付き合いのできそうな友人に巡り合った気分だ。

華美ではなく、シンプルで折り目正しく、それでいてチャーミングな魅力は、人もモノも変わらないと思う。人への気遣いも内包されている奥ゆかしさがあると、なお魅力的である。

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それは、見た目が綺麗である、ということと同義ではない。

例えば、ジャケットの肩の部分である。以前にも触れたが、横から見てもすっきりときれいなものは、実は肩の収まりが悪い。人の身体には丸みがあるからである。それを計算に入れて裁断・縫製されたものには、やや皺が入ってしまわざるをえないのである。

欠点のように見えなくもないことが、実は特筆すべき長所だということになる。こういったことも人と同じで、洋服の興味の尽きないところだ。

60sFACTORYプロデューサーKakky(柿本)

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尾錠は必要か?!

かつて、綿パンは「コッパン」(Cotton Pantsの略称)と呼ばれ、尾錠が標準装備だった。

機能としてはウェストサイズをアジャストすることにあるのだが、むしろスタイルとして定着していったものだった。言わば、アメリカン・トラッドの証。コッパンに尾錠が付いていることで、正統派を宣言しているかのようだった。

大西洋に浮かぶリゾート、英国領バーミューダ諸島で流行したバーミューダ・ショーツ。常夏の島で休暇を過ごすアメリカ人やイギリス人が、暑さの中でも正装にこだわった結果、スーツのパンツの膝から下を「ええい、切ってしまえ!」とやったのが始まり(だったはず‥‥)。最初はバーミューダ・スーツだったような気もするが、定かではない。

ファッション音痴の学生だった僕は、初めて海水浴場でバーミューダ・ショーツを目にした時、「中途半端な丈のショートパンツが流行ってるなあ」と思ったのを憶えている。

縁あってVANに入社した後、VANのバーミューダ(もはや、ショーツという言葉は省いて呼んでいた)を見て、海水浴場を闊歩していた数多くのバーミューダ姿とは少し異質なものを感じた。やはり、よくできていたのだろう。

インディアン・マドラスのバーミューダに、シアサッカーのジャケット。あるいは、シアサッカーのバーミューダに、インディアン・マドラスのジャケット。というコーディネーションをイメージしつつ、バーミューダの企画に入った時、「尾錠は?」という質問に、そこにいた四人全員が顔を見合わせた。

コッパンなら、尾錠は必然である。しかし、バーミューダとなると‥‥。当時のVANの商品も誰も持っていない。

結論は、谷さんの一言で決まった。「付けたと思うよ。きちんとしたヤツをね」。作った人が言うのだから間違いない。‥はずだ。

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という訳で、今でも必要性にはやや自信のないバーミューダの尾錠。だが、穿いた実感で言うならば、ある方がいい。機能的にも、デザイン的にも。どうも、一つ締まりができるようだ。

60sFACTORYプロデューサーKakky(柿本)

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シアサッカー半袖プルオーバーBDシャツ、サックス追加生産。

陽射しが強くなってくると、シアサッカーの肌触りが恋しくなってくる。

汗の滲む季節は、やはり綿100%がいい。肌にピッタリと触れることなく、たくさんの点で接触する感覚のシアサッカーのシャツは、素肌に着たい一品だ。

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同じ感覚を持っている方々の支持を受け、シアサッカーの半袖プルオーバーボタンダウンシャツが人気だった4月末。サックスのLLが品切れとなってしまった。

急遽、追加生産の手配をすることになったものの、心配なのは素材があるか否かだった。幸いにして、発見。無事、発注した。5月中には、納品される。

お待ちいただくことになった方々、ごめんなさい。あと少しです。

シアサッカーは肌触りだけではなく、見た目の涼感もいかにも夏らしい。僕は、サマージャケットも好きだ。

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60sFACTORYプロデューサーKakky(柿本)

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パターンオーダーの素材、追加決定!次も‥‥。

無謀にも、春が近付きつつある頃にフラノでスタートしたパターンオーダー。

有り難いことに注文を数名の方からいただき、満足・感謝のメールまで届いた。

俄然、元気が出てくる。素材探しにも力が入る。すると、シアサッカーが見つかった。生産量が激減している素材だ。

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そして先日、さらに候補がやってきた。

コードレーンだ。味わいのあるものが少なくなった素材の一つだ。

候補の一つに目が止まった。第一印象が大切なのは、人もモノも一緒。触ってみて、笑みが洩れる。‥‥決定!

ピケ。麻混。‥‥。これからも、次々と候補が届いてくることになっている。小さなブランドに見合った量・バリエーションと、こだわりを忘れず、一歩ずつ充実していきたいものだ。

60sFACTORYプロデューサーKakky(柿本)

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